工法比較例と現状 |
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最もよくある比較パターン | |||||||||||||||
地山を安定化させるための工法は様々ありますが、最もよくあるパターンは以下の3工法の比較です。
実際の比較では安定勾配切土工法が採択されることはほとんどありません。それは何故か?切土のり面では、切土直後は安定していても切土施工時の地山の緩みや応力開放により発生する地山の強度低下が見積もりにくいこと、さらに切土後に始めて経験するような多量な降雨,湧水,地震などによって崩壊することもあります。面積が増えることから維持管理するのにリスクが大きくなるのです。経済性でも土捨てまで考えた場合、高価となることが多いのです。 ※安定勾配切土工法の検討では地山を大きく切り込むため、一般には施工幅がすり付けなどを考慮すると、他の2工法の1.5倍くらいになります。これを考慮しないと妥当な検討は出来ません。
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地山補強土とアンカー工の比較 | |||||||||||||||
地山補強土はよくアンカー工と比較されます。 アンカー工は、地中にグラウトによって造成する定着部と地表付近の構造物を、高強度の引張材で連結させ、引張力を利用して安定させるシステムであり、地山補強土との違いは、主にプレストレスの有無と強度であるといえます。歴史はアンカー工の方が古く、地山補強土にとっては兄貴的存在と言っていいと思います。
アンカー工と共にのり面の補強工法として繁栄していきたいものですが、のり面補強工事ではほとんどの場合この2工法の比較検討を求められます。
従来、このような場合の工法比較、特に経済性の比較では、主に当初建設に関わる費用に注目してきました。しかしその一方で近年維持管理の重要性が叫ばれており、維持管理費込みの経済性を求められるようになっています。維持管理費込みの比較はメーカなどに資料があり、参考になります。 地山補強土とアンカー工の比較を考えた場合、アンカー工はプレストレスが生命線の工法であり、所定のプレストレスを永久的に維持する必要があります。一方で地山補強土工法にはプレストレスは必要ないことからほとんど維持管理がいらないのです。この考え方の差で比較結果も大きく変わってくるのです。 当サンプル現場の比較例は以下の通りです。 建設費ではほぼ等価となります。
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地山補強土工法内の工法比較 | |||||||||||||||
アンカー工との兄弟対決が終わった後は、今度は身内対決が必要となります。地山補強土工法内の工法比較です。検討のキーワードは以下の通りです。
これらをまともに検討すると、かなりのケースの検討となり、手計算では無理です。専用のソフトを使うと簡単に多くの検討をすることができます。
またメーカで設計計算を助言してくれるところもあります。計画には多くの経験が必要であり、有効に使うべきでしょう。
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最も合理的な配置(打設間隔、打設段数)の検討 | |||||||||||||||
専用ソフトを使うと、打設間隔、打設段数、打設傾角が一気に比較できます。
これらの結果から代表的な配置パタンを比較表にまとめます。最も簡易的な書式は以下の通りです。EXCEL版もありますのでご確認ください。
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高強度系の地山補強土工との比較検討 | |||||||||||||||
設計段階で、発注者からの高評価を受けたい場合は、新技術の高強度系の地山補強土工との比較検討をすることをおすすめします。 特に必要抑止力が大きいケースや地盤のτが比較的大きくとれるケースでは 新技術を検討しないと会計検査上でも問題となる場合もあります(同一路線などで新技術が比較設計されていた場合など)。 新技術については、従来技術と異なり、一般的な設計参考資料があるわけではなく、最もその現場の即した計画は慣れたメーカに相談するのも一案です。 アンカー工とともに一括した工法比較表とする場合も多いようです。一度お試しください。
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