地山補強土工の日本での使用状況
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地山補強土工は、斜面に鉄筋やロックボルトなどの比較的短い棒状の補強材を法面や地山に多数挿入することにより、土と補強材の相互作用によって移動土塊や斜面上の岩塊等を安定化させる工法です。 多くの場合、のり面工(表面工)との併用がなされます。補強材とのり面工が一体となり補強効果を増します。一般的には補強材の長さはアンカー工よりも短く、比較的崩壊規模の小さい斜面に適用されます。 本工法が現在主に使用されているのは、以下の目的が多いようです。 ①用地制限などにより自然地盤で標準勾配よりも急勾配に切土を行う場合 ②既設切土のり面を用地の有効利用等の目的で急勾配化する場合 |
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地山補強土工法は、グラウンドアンカー工法などの抑止工に比べて簡易であり、狭い専有面積に自然環境をなるべく改変しないで経済的に短期間に建設できる特徴があります。逆に、大きな抑止力が必要となる大規模な地すべりなどに対しては単独での適用が困難となることもあります。
地山補強土工法の主な特徴は以下のようになります。 |
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補強材の種類は材質や形状によって以下のように分かれますが、ネジ節異形棒鋼が最も一般的に使用されています。 |
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一方のり面工(表面工)には、吹付工や場所打ちの受圧板、プレキャスト製パネルなどがあります。 場所打ちの受圧板は以下に分類されます。
この中で板は、強度が高く、設置面積が大きいという長所を持つが、地下水を遮断したり、施工性に劣るといった短所もある。この中で施工例として圧倒的に多いのは吹付枠工です。
地山の地質状況、のり面規模、勾配、緑化の有無、永久・仮設、補強効果などを考慮して数種類ののり面工を比較して採用工法を決定しています。
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モルタル吹付については詳細な設計検討がなされないことがほとんどです。吹付厚などは周囲の現場との整合などで決まることが多いようです。 ただし検討を求められることもあります。その場合は以下のような手順があります。 モルタル吹付の吹付厚は一般的に8cm~10cmを標準としているため、この範囲内に対して「吹付コンクリート指針(のり面編)」より、地山の状態と勾配により必要厚の検討を行います。 ①地質要因 ②地形要因 吹付モルタルの強度計算について、参考文献が無いため、設計者によって「押し抜きせん断照査」、「支圧応力度照査」、「照査省略」とバラバラのようです。 μ>0とすれば、吹付モルタルにも荷重は作用していることになるので、何らかの照査は必要という考え方もあります。
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地山補強土工における吹付枠工設計のポイント | |||||||||||||
平成18年11月(社)全国特定法面保護協会から「のり枠工の設計・施工指針(改訂版)」が発行されました。地山補強土工におけるのり枠工、特に吹付枠工 は、同指針が基本であり、国土交通省でも随時新指針によることを通達しています。 ここでは地山補強土工+吹付枠工の設計で特に注意を要するポイントを解説します。
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プレキャスト製パネルの設計 | |||||||||||||
補強鉄筋工の反力板としては、吹付枠工の他、各メーカーで提供している独立型の反力板がありますが、それらの設計は各メーカーに任せることが多いようです。
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