例えば、検討が砂防堰堤の管理用道路の設計で、道路土工では計画安全率1.2とありますが、砂防管理車両しか通行しない道路で1.2まで上げる必要があるのか、などの疑問が良くあります。以下はこれに近い問題で、日本道路協会に質問をしたやり取りです。参考になると思います。
【質問】
お世話になります。○○と申します。「道路土工 切土工・斜面安定工指針」の記載内容について質問があります。
質問は 8-4-2 (9)地山補強土工 についてですが、P.297に下記の記載があります。
ここに、Fsp:計画安全率(本設=1.2、仮設=1.05~1.10)
この表記について教えてください。本指針の参考元である「切土補強土工法設計・施工要領」では、補強斜面の計画安全率として、永久、長期では、Fsp≧1.20を基本として、追記として、「Fsp≧1.20は“本線”などの永久のり面、埋戻し後地表に残る永久のり面、残置期間が2年以上の仮設のり面などに適用する」とあります。これは保全対象によってFspは変わるということを示しています。したがって高速道路以外に適用する場合、その道路の計画安全率を国道、一般県道、市町村道などで変えて運用されていたと思います。
一方「道路土工 切土工・斜面安定工指針」では、Fsp:計画安全率(本設=1.2、仮設=1.05~1.10)と表記されており、保全対象に影響されない Fsa:周面摩擦抵抗の安全率 と同じ扱いに見えます。
結果、保全対象に関わらずこの工法の安全率として1.2をとるという方もおれば、道路土工が国土交通省所管の道路を主として書かれているため1.2が固定化されている、一般県道の場合は1.15にすべき・・・と考えている方もおられ
現場が混乱しております。
お忙しいところまことに恐れ入りますが、この表記の意図について教えて頂ければありがたいです。よろしくお願いいたします。
【回答】
お世話になっております。○○と申します。日本道路協会に送られました、ご質問に対する回答です。
まず、ご質問の計画安全率の本設、仮設の記述につきまして、今回の改訂で変わったわけではなく、旧のり面工指針でも同じ記述であることを、お断りしておきます。
NEXCOさんの考え方については、NEXCOさんに確認いただければよろしいかと思いますが、基本は短期の暫定あるいは仮設は1.05~1.10、本設は1.20以上であることから、指針ではご質問にありますような記述(本設1.2、仮設1.05~1.10)としています。
国道だから、県道だから、といった観点での設定はしておりません。
また、本指針は基本は国道を想定した参考図書であります。国道は1.2、県道だから1.15でよいといったことは、本指針で設定する話ではありませんし、旧指針においてもご質問にありますような運用の考え方を示してもおりません。
県道や市町村道において必要とする性能は、各自治体の道路管理者が判断・設定するもので、その考え方の参考として本指針を用いてもよいだけです。
ですから、例えばA県では土工指針に準拠して1.2、B県では県の責任で判断して1.15でもよいわけです。
したがって、申し訳ありませんが、指針の立場から県道、市町村道に対する運用の考え方をお答えすることはできません。県道、市町村道の考え方は、各自治体の担当の方に確認してください。
つまり、道路土工は、国道のみに対する考え方を規定したものであり、県道やその他の道路に適用させる意図は全くなく、それをよりどころにもできないということです。計画安全率はあくまでも各自治体が統一的な考え方のもとで決めるべきものです。ただ私が感じている限りでは発注者サイドでもこれを理解していない方もおられます。この辺は初期段階で良く詰めておく必要があります。
. |