地山補強土工とは |
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現在切土のり面や地山の安定化工法として用いられている工法として切土補強土工法があります。一方で鉄筋挿入工、補強鉄筋工など多くの名称が使われています。実務としては、設計計算、設計図、材料調達、施工と一連で行うため、名称のバラツキによる実質的な問題はほとんど ありませんが、本工法がより確立した永久工法となるためには実情に応じて理解・整理する必要があります。 本工法の基本は土を補強するところであり、広義の”補強土工法”に含まれ、ここから整理します。補強土工法には地山系の工法と盛土系の工法に分けられます。このうち地山系の工法は、人工切土のり面か自然地山かで、切土補強土工法、地山補強土工法の名称が使われることが多いようです。また盛土系の工法は、壁のイメージか否かで補強土壁工法、盛土補強土工法の名称が使われているようです。これらは補強する対象による分類と言えます。 本サイトは上記のうち地山系の工法の情報を集約していくことを目指し、これを”地山補強土工”と統一呼称として扱っていきます。
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地山補強土工は、1950年代にヨーロッパで斜面や切土面を安定化する工法として開発されました。日本には1980年ころに導入され始めましたが、それは斜面ではなくトンネル(NATM工法)でした。吹付コンクリートとロックボルトを用いることによって当時のトンネル支保の考えを一新し早期のトンネル施工を可能としたNATM工法は急速に広まりました。 1998年には当時の日本道路公団が「切土補強土工法設計・施工要領(案)」を刊行しました。これを機に第二東名などの建設に使われるようになり、特に道路行政域を主体として、日本で急速に斜面に用いられるようになりました。この過程では切土補強土工法という名称が定着しつつありました。
一方で
掘削仮土留め工や基礎の補強工事など、用途が拡大するようになり、また補強材としても鉄筋以外のものも使用されるようになってきたのを受け、
「地山補強土工法」と呼ばれるようになってきました。 |
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地山補強土工に用いる補強材は、 剛性や形状(細長比) の違いにより、ネイリング(小径補強材)、マイクロパイリング(中径補強材)、 ダウアリング(大径補強材) の3種に分類されます。 これら補強材の一般的な選定方法としては、硬い地山で引張り補強効果やせん断補強効果を期待したい場合にはネイリングが、軟らかい地山で引張り補強効果だけではなく曲げや圧縮補強効果も期待したい場合にはマイクロパイリングやダウアリングが選定され ます。日本国内では平成10年に当時の日本道路公団から「切土補強土工法設計・施工要領」が発刊されて以来、上記の分類上では”ネイリング”の考え、設計が急速に浸透してきました。
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